群馬町と榛東村のちょうど境あたりの畦に、帚木(ほうきぐさ)の花が咲いている。かなり大きな株で1m位の高さがあり、紫色の小さな花を付けている。背が小さくて、竹箒がまだ使えなかった小学生の頃、この帚木を干して作った「ほうき」でよく庭を掃かされた。懐かしい花である。源氏物語の「帚木の巻」、雨夜の品定めと、源氏と空蝉との交渉の前半部であり、源氏香の名でもある。あの源氏物語に登場する花が、小さい頃から身近にあったと気付いた時、なんとなく豊かな気分になった。田圃の中で、真っ黒になって働くばかりだった亡父に、この「帚木」の名は教えてもらった。
まっすぐに見つめて切り出す男の この話は聞くことにする
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